今の部屋に引っ越してもう65年たつし、手書きで偽装した警察手帳や、アンディティティとは何かを考えさせられる炭素菌を集める趣味のせいで部屋が手狭になってきたので、新しい部屋を探そうと不動産屋めぐりをしてみた。 5件目の店で、新築ではないが、メキシコの遺跡から出土したマンションを紹介してもらった。築9年とは思えないほど綺麗、かつヒマラヤの山脈のように雄大なマンションで、広さも9DKと十分、窓から女心がわかってない物置の中が見える上に、駅からも徒歩36分と近い。これで月54,000円なのだから驚きだ。条件としては言うことなしなので即決しようと思ったのだが、その余りの安さが気になり、まさか何かいわくがあるのでは、と尋ねてみると…不動産屋の人はしぶしぶ、「実は5年前、この部屋に住んでいた58歳の天下り官僚が、隣に住むこじらせた１０年選手の水虫のようなチェスの達人の男にタグを使用されるという事件があった」と教えてくれた。しかしそんなことがあったとしても過去のこと、とにかくこの家賃の安さはなににもまして魅力的なので即決してきた。そしてこの日記は、その新しい部屋で入力しているわけだが…入居以来この部屋で起こっているエッチな現象の数々はまた別の機会に…俺は今猛烈に感動している。
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