久々に札幌でゆっくり過ごすことができた。1日目は昼ラーメン夜会席料理、2日目は昼ラーメン夜ラーメン夜食カジュアルフレンチ、3日目は昼ラーメン。ラーメン点巡回3店舗。本記事はラーメン編としてアップする。会席料理、カジュアルフレンチは次記事にて。 men-eiji HIRAGISHI BASE 札幌味噌eiji style 札幌で昼食を摂るなら、あらゆるジャンルの中からmen-eijiとらーめん佳の2店舗を選ぶ。かつてはスープカレーのマグマも選択に入れていたが店主が代わってしまってから興味を失った。今回火・水・木の3日間で火はmen-eiji、水は佳、木ラーメン二郎札幌店を訪問する予定でいたが札幌到着寸前にmen-eijiが臨時休業であることが判明。行程の都合上、急遽麺屋菜々兵衛を追加した。おかげで水曜日は佳と二郎。菜々兵衛の存在はラーメンを作る人の物語で知った。この本を読むとうかがい知れるがここで紹介されている店主の何人かが「いかにmen-eijiが傑出した存在か」についてコメントしていて驚く。この本では札幌ニューウェーブの比較的若い20人の店主を紹介しており、てつや出身者が多いことやブロガーとして活動していた人間が意外にいるということを知ることできる。いつもながらに端正に盛りつけられたつけBUTO大。いつも通り小葱とメンマをトッピング。割りスープは自分で注ぐ方式になったんですね。熱々の「小茄子」も頼めば入れてくれるんでしょうけれど。道内各地いくつかの店でつけ麺を試しているがつけBUTOを超える麺とスープにはなかなか出会えない。そして、つけBUTOが味わえればそれで十分と考えるので他の店をわざわざ探す必要もなくなった。今回もそれを再確認。そして創業当初あえてやらなかった「札幌味噌ラーメン」を満を持して提供し始めたことを知り、味わいたかった。調べてみると過去においてeijiは味噌ラーメンを提供していたようだ。だがそれはあくまで「eijiの味噌ラーメン」であって、「札幌味噌ラーメン」ではないということだろう。今日の昼食 麺eiji 味噌ラーメン Annex of TK Sports Shooting men-eiji HIRAGISHI BASE 札幌ラーメン行脚!! 札幌味噌ラーメンとしての要素を十分揃えつつオーソドックスかつ美しい成り立ち。てつやでの修行時代に散々振るったであろう中華鍋から炎を上げて調理する様子や麺の茹で上がり30秒前に古川オーナーにコールする相方の声を聞いて、否応なく札幌味噌eiji styleに対する期待とそれを受け止められるだろうかという緊張感が高まった。かなり上品で丁寧なつくりのスープで化調どばどばラードがっつりな札幌味噌ラーメンに慣れてしまった味覚にはインパクト不足と取られるかも知れない。これにeijiとしては初の縮れではないかと想像する自家製麺を調和させている。非常な高水準でまとめられた丼だが、この素晴らしさは「美味いものより馴染んだもの」を好む層にはなかなか理解されないだろう。最近、味噌をつかいながらもいわゆる味噌ラーメンらしからぬ丼を提供する店舗がでてきたように見受けられるし、味わいの点からもヴァリエーションが増えて歓迎すべきなのだけれど、一般的な味噌ラーメンファンには受け入れられにくい点も否めない。 men-eijiは従来の札幌味噌ラーメンに愛着を感じている層といわゆる札幌ニューウェーブ愛好者の両者を納得させ、かつ全国的なレベルに「札幌味噌ラーメン」を引き上げる険しい道のりを選んだように思われる。観光客相手の忌むべきラーメン横丁にこのレベルの札幌味噌ラーメンが登場するまで、古川オーナーには挑戦の継続を望みたいし、間違いなくやり遂げると確信する。以前から「ラーメンではなく二郎という食べ物」に憧れていた。何年も前から存在する二郎インスパイアを幾店舗かで試したことがあるがどの麺もオリジナルを超えようとするあまりか、上品に過ぎて量を除けばインパクトに欠けて満足いくものに出会えなかった。一度もオリジナルを食べたことがないにも関わらず、物足りなかった。ラーメン二郎札幌店 小ニンニク印象を一言で述べれば「さすが本家。全然不満なし」。麺、スープ、肉、野菜のジャンクなバランス感が素晴らしい。これをインスパイアでなし得た丼に出会えたことがない。いわゆる「小650円」は誰にでも勧められる種類のラーメンではなく、二郎という食べ物に挑戦したい方(ジロリアン)の専用メニューと言っていいだろう。野菜やニンニク、カラメを増やすのは辛味中毒症と同様で一種の度胸試しというか示威行動というか自虐行為がないまぜになったものではないだろうか。丼としてのバランスが崩れて、不味くなるのは間違いないから。ただインスパイアには覚えなかった中毒性は理解できる。あの麺とスープの存在感は古臭いながらも抜群。伝統ということばすら似つかわしい。二郎は夕食で食べたが、同じ日の昼にらーめん佳を食べている。佳は初訪問ですぐやられてしまったのは前記事のとおり。今回の訪問はその時以来で印象の確認。らーめん佳 あじ玉らーめん印象はまったく変わらないが前とは明らかに何かが違う。自分の舌がというよりも何か必ずやっているはずだ。6年前の丼が以下のリンク記事で見ることができる。今日の昼食 らーめん佳 Annex of TK Sports Shooting 次回札幌に訪れる機会があれば、昼食候補の一番は佳になる。men-eijiの存在が札幌(即ち全道という意味と同義だが)で傑出していると述べたが、佳はそれに比肩する。少なくとも自分の中では。ここの麺とスープの凄みは他では味わえない。ちなみにラーメンを作る人の物語にらーめん佳は登場していない。佳のオーナーはあの手の取材は絶対受けないだろうと想像する。それでいいし、それがいい。あくまで彼の主張は丼でしかなされない、ということなのだろう。さて、麺屋菜々兵衛についてはさらりと。基本的にはこういった店が近所にあれば嬉しいというレベル。わざわざ出かけていくことはない。しかしながらこのレベルの店でも地方には数少ないということも確かで札幌の水準を引き上げている。麺屋菜々兵衛 鶏白湯塩同 つけ麺メンマ増し煮玉子自家製麺。全粒粉か。割りスープもあり。さて、食べはしなかったがかつて評価していた店の様子を伺ってきた。一店舗は支店も含め観光客用の店に変貌したと想像できる。もう一店舗は昼時にも関わらず駐車場に車は停まっていなかった。そして今回訪れた4店舗がせいぜい10分程度のウエイティングで済んだのは幸運だったと思う。
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